不完全な毎日は続く

ある日、通勤中にイヤホンで音楽を聴いていたら、BONNIE PINKが歌う「So Wonderful」の歌い出しが耳に残った。

出かける前に無くした片方のピアス
今日という日は不完全なまま走り出す

確かに私は毎朝、不完全な状態で家を飛び出し、冴えない気持ちで仕事に向かう日々を過ごしていた。
そしてそれは今も変わっていない。服装も化粧も適当、だって別に着飾って出かける用も無いし……。

30歳を過ぎたら、疲れやすくなって無理もしたくなくなった。
特に去年は、自分に不向きな仕事をこなさなければならず、プライベートでは楽しい予定を入れよう!という気力すらも湧かなかった。今年はその仕事から解放されたが、それでもなかなか自分の生活を思い通りにコントロールできず、がっかりしてばかりいる。

もう少し若かったときは、当たり前だがもっと元気だった。その頃から自分は大して変わっていないはずなのに、どうしてこんなに頑張れないのか。30代って働き盛りなんじゃないのか。体力が多少衰えたとしても、気力は漲っているものなんじゃないのか。かなしい。

そんな状態にある最近、津村記久子の『ワーカーズ・ダイジェスト』(集英社文庫)という小説を読んだ。
物語の中心にいるのは、名字も生年月日も同じという32歳の男女。二人は仕事でたまたま顔を会わせ、お互いの共通点を知って驚くが、その後はまた会うことも無く、時々お互いのことを思い出しながらそれぞれの日々を過ごす。

この小説では二人の生活が交互に書かれていて、二人ともとにかく疲れている。体が重い。彼らの立場や仕事ぶりは自分とは違うけれど、その疲れはよくわかる。

それでも彼らは、物語の最後に年越しを迎え、気持ちを落ち着かせる。いろいろな事に振り回されて疲れているし、体は重い、だけどそんなに悪い毎日でもない。低め安定といった感じの、少し明るい気分で終わる。
元気ハツラツな自分を取り戻そうとしなくても(私はもともとそんな感じではなかったが)、少しずつ、無理をせずに上向きになればいいのだと励まされた。私も毎日がっかりせずに、ちょっとだけでも頑張れればよしとしよう。

10代、20代の人には、身体的な疲れはまだあまり意識してほしくないけれど、気持ちが疲れてしまうことはきっとあるだろう。そんな時も、まずは自分が疲れていることを受け入れて、とりあえず今できそうなことから手をつけていけばいいのだと思う。

Writer's Profile

marue
30代会社員、実家住まい。
学生のとき、部活とサークルで打楽器やドラムを叩いていました。同じリズムをひたすらキープし続けるのが好きです。